100円稼ぐのに23000円の路線?営業係数って何
営業係数は、鉄道、バスなどで100円分の収入を得るために、いくらかかっているのか『実費』を数値に出すものです。数字が100を切っていれば黒字、100を超えていれば赤字です。
営業数字が100を下回る路線はまれ。日本の鉄道やバスは鉄道各社の副業と営業係数が良い路線に寄りかかり各社赤字路線を支えています。営業係数の赤字は、とんでもない所もあるのです。
営業係数は、何を参考にして算出する
営業係数は鉄道、バス各社が公表している収益や、各路線の旅客運輸収入合計、区間ごとの平均通過人数によって割り出されます。
いつ乗っても満員という印象の電車の営業係数は100を切っています。例えば以下の通りです。
- 湖西線(JR西日本:76.4)
- 環状線(68.1)
- 東京メトロ(76.5)
- 大阪市営地下鉄(73.1)
- 阪急電鉄(75.7)
これらの路線は立地が良い都心部を走っていたり、電車一本で通勤通学できる利便性の良さを兼ね備えてます。路線沿いに大企業、大学があり、電鉄の系列会社の不動産があるのも特徴です。
その一方、JRのローカル線は無人駅もあり、一日の利用者が誰も居ない駅もあるのではないでしょうか。これらの路線の営業係数は天文学的数字になっているのです。
1日の利用者数13人、営業係数ワースト1の駅とは
営業係数ワースト1は広島と岡山の境にある、芸備線・東城~備後落合です。100円の利益を上げるために23687円かかるというこの区間。実際の利用者は1日に1~2人居れば良い方で、その他は悪い意味で寂れた駅を物見遊山で観に来る観光客の利用者だけ。
JR各社は1日の利用者数2000人未満の路線を各社営業係数共々公表。こちらはJR西日本の輸送密度2000未満路線になるが、ローカル線はシビアなのが判ります。
その他にも陸羽東線の鳴子温泉~最上は、1日の利用者は44人で、営業係数は20,031。久留里線の久留里~上総亀山は、1日の利用者が55人、営業係数が19,110なことから何度も廃止案が出されてきました。
天文学的に数字が悪い営業係数は、どうしようもありません。JRの場合営業係数50~70の各社新幹線がこれらの赤字を補てんしていますが、何等かの対策を練らないと新幹線の営業係数だけでは持たないでしょう。
では具体的に営業係数を下げる努力をしている交通機関は、どの様な対策を練っているのでしょうか。
営業係数の改善には客観的視点も必要
毎年系列ごとの営業係数を計算、具体的改善方法を指南しているのが京都市交通局です。営業係数を明記したバス路線図を運転席後部に設置。HPには毎年どの系列が営業係数を改善したか、どの系列の営業係数を改善すべきかが掲載されています。
こちらは同志社中学の自由研究による営業係数検証結果です。何故赤字路線ができるのか、その理由と解決法も示されており参考になります。
いかがでしたでしょうか。
営業係数は、バスや鉄道の経営状態だけでなく、経営努力、地域の人たちとのつながりまで見えるのが判りますね。