折れたイチョウの下敷きになって死亡?半世紀以上前のイチョウ並木は剪定してなかった?



樹齢半世紀以上前のイチョウの枝が折れ、折れた枝の下敷きになり、30代の男性が死亡しました。

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事件が起きたのは、’24年9月12日東京都日野市。午後6時半ごろ。樹齢60年を超すイチョウ並木の遊歩道。事故の原因となったイチョウの木は、6箇所も太い枝が折れており、高さ10mの所から枝の重みに耐えきれず、一気に折れたと見られます。

何故痛ましい事故が起きる前に、行政は剪定しなかったのでしょうか

日野市のイチョウ並木事件は特定の木が原因だった

事件がおきた日野市によると、遊歩道に植えられたイチョウの木は、60年以上前に、多摩平団地を作った時に植えた時から、ほぼ手入れしていなかったそうです。

 

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7月末に行政が木の根元などが腐ってないか、ざっと見ただけだったと言います。地元住民らによると『この辺りは殆ど手入れしていない』というのです。


落下した枝は最大で直径約30センチ、長さ約5メートル。手入れしていると言えない枝です。定期的に剪定しているなら、こんな枝がまとめて落ちて来るはずもありません。下の写真は、事故現場ですが、普段から行政の手入れが行き届いていないのが判ります。事件現場のすぐそばは保育園なのです。

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樹木医によりますと、折れたのは雌のイチョウの木だと言います。

事件があった時は、銀杏が実る季節で、長く伸びる枝が銀杏の重みに耐えきれず、場所によっては100kgの重さがかかる所もあったと言います。事件があった’24年は、激しい天気の移り変わりで、枝にヒビが入ることも考えられました。樹齢が古い枝ならなおさらです。令和に入ってから外来種のカミキリムシの被害が相次ぐ街路樹。どこでやられるか判りません。

事件現場となった遊歩道は中学校の体育館と団地に挟まれ、道幅も細く、樹木の高さの認識が甘かったというのもあります。

イチョウは街路樹に向いているのか

そもそもイチョウは街路樹にむいているのかという話も挙がります。こちらは京都の郊外・洛西のイチョウ並木です。半世紀ほど前に植えられましたが、定期的に剪定され、地元住民が落ち葉を掃除しています。

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地元の方にお伺いすると、写真のような紅葉のシーズンになると、毎朝毎夕家の前を掃除しなくてはいけないので大変だとお聞きしました。枝の剪定も何回も来て貰っていると言います。

イチョウは水分をたっぷり含む性質の木なので、火事などの延焼を防ぐ目的で街路樹に植えられました。目的を果たすためには、剪定など、お手入れも必要なのです。

今回の痛ましい事故は、街路樹は植えっぱなしにしてはいけないということを、私たちに伝えてくれたのではないでしょうか。