逸ノ城電撃引退!酒に潰された力士人生



最高位関脇・西前頭13枚目の逸ノ城(’23年当時30歳=湊)が
’23年5月4日、電撃引退した。


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東京・両国国技館で師匠の湊親方(元前頭湊富士)とともに会見。
表向きは持病の腰痛の悪化となっているが、引き金になったのは、
アルコール依存だったことが明らかになった。

デビューから1年で三役へ

逸ノ城は、モンゴル遊牧民出身で、’10年に鳥取城北方向に入学。
日本に来る飛行機には、後の横綱となる照ノ富士、水戸龍が乗っていた。

192センチ、200キロと恵まれた体格は横綱候補とされ、
立派な太腿がスカウトの目を引いたものの、
遊牧民だったため、モンゴル標準語も喋れず大人しそうな感じだったという。

2013年(平成25年)11月に入門。’14年初場所・初土俵。
関取特権を破棄してでも、同年9月相撲教習所に通い腕を磨いた。

’14年11月場所で西関脇に昇進。
幕下から所要5場所での三役(新関脇)昇進は昭和以降1位。
新入幕翌場所の関脇昇進は昭和以降では初の記録を打ち立てた。

この頃の逸ノ城は、まだ日本語を勉強中
『三賞って何ですか? どうするともらえるの?』と聞いていたという。

逸ノ城はアルコール中毒だった

好事魔多し。
逸ノ城は、角界デビューから3年経たないうちに、お酒の席でのトラブルが相次いだ。

友人らと飲みに行くと酔って問題を起こすので、おかみさんが同席することになったが、
酔うと逸ノ城は、おかみさんに暴力を振るい、物をなげつけたという。

集団生活が苦手というので、親方は逸ノ城の1人暮らしを認めたものの、
マンションで1人暮らしをさせると、部屋呑みをする有様。
ビール1ケース、ウィスキー1,2本は当たり前の酒乱だった。

見かねた親方は逸ノ城に1年の外出禁止命を出すも、
解禁1カ月未満で、酔いつぶれて朝帰りという失態で稽古をさぼったという。

逸ノ城は自分の酒癖の悪さは自覚していたのか、
『自分は自分でコントロールできないから、これまで通りに厳しくしてください』
と親方と、おかみさんに訴えていたという。

初優勝時には師弟関係崩壊か

逸ノ城は、酒さえ入らなければ何も問題は起こらないと言われていた。
唐揚げとあまいものが好きで、’15年からは、おやつカンパニーがスポンサーについた。

本名は、アルタンホヤグ・イチンノロブ。
四股名は本名の『イチンノロブ』の『イチ』、人並み外れた才能を持つ『逸材』
相撲留学をしていた鳥取城北高校から”城”を取り『逸ノ城』と名付けられた。

帰化した時は、師匠の湊の本名・三浦孝行の姓をもらい、駿はしこ名の下の名前を貰ったという。

ここまでの話だと、親方との関係は良好だったように思えるが、
やはり問題は酒だろう。

’22年の名古屋場所で初優勝したときは
『(この喜びを)親方をはじめ、おかみさん、皆さんいつも支えて下さるみなさんと分かち合いたいです。』と喜んでいたが、この時に師弟関係は崩壊していたとみられる。

日本国籍を取得していながら、親方として相撲協会に残ることは『考えていなかった』逸ノ城。
師匠も弟子の断髪式について、日程どころか、実施するかどうかも未定というのだ。

引退会見では師匠と弟子は目も合わせない。
言い分も矛盾している。
これはどういうことなのだろうか。

表向きの引退理由の裏にある事情

逸ノ城の引退の表向きの理由は腰痛だ。
たしかに腰は手術しても状態がよくならず、ヘルニアの手術を受けていたのは明らかになっている。

が、予後が悪く、相撲が本当に取れないのであれば、3月場所では土俵に上がり、十両優勝はできない。十両優勝後の、相撲協会の公式Youtubeチャンネルの収録を深酒で、すっぽかすなど、
人としての在り方が問われた形になった。

帰化した彼を後継者にしようと、親方株の所得にも奔走していた親方だった。
親方の努力も弟子は、無碍にしただけでなく、親方株を取るために渡したお金を使い込んでいるという根拠のない噂までばらまいた。

アルコール依存症のカウンセリングも断り、モンゴフパブに再び出入りするようになった逸ノ城。
さすがの親方も咎めた途端、逸ノ城はタニマチを頼り、弁護士をたてた。
弁護士を通して話してくれという異例の事態になった。

1部屋1外国人力士の規則が問題か

今後の人生については、まだ決まらないという逸ノ城。

栃ノ心の様に、国籍を所得できず日本に残れないという無念な話がある一方で、
日本国籍を所得し、親方になれたかもしれないチャンスも放棄した逸ノ城。

ひっかかる事があるとすれば、相撲部屋の規則だ。
’10年2月末から、外国人力士は1部屋1人になっている。
当時、日本国籍取得によって枠を空け、新たな外国人力士を入門させる“抜け道”が相次いだからだ。

しかも抜け道防止として移籍も不可能となっているので、
今回のような逸ノ城が電撃引退ということも、今後起こりうる危険性は充分ある。