【なんで!?】芥川賞の歴史でただ一人受賞を辞退した作家とは?



作家にとっては、大きな名誉である芥川賞。
しかし、芥川賞の歴史の中で、実は一人だけ受賞を辞退した人がいます。
それは高木卓です。
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受賞辞退は作家としてのプライドか

昭和15年の『歌と門の楯』が第11回芥川賞に選ばれましたが、高木卓は芥川賞の受賞を辞退しました。
その理由は、芥川賞を受賞した『歌と門の楯』よりも、以前い執筆した『遣唐船』という作品の方が、高木卓にとっては、優れていると考えていたからだそうです。
作家本人が、優れていると思っている方の作品が芥川賞に選ばれなかった為、『歌と門の楯』が受賞をしても、素直に喜べなかったという部分が受賞辞退の大きな原因になってしまったようです。
その結果、第11回芥川賞は受賞者がなしになりました。

高木卓は、作家としての名誉よりも、作家としての作品へのこだわりを貫いた方と言えます。
多くの作家が、芥川賞や直木賞などの受賞を目指して、努力をしている中、辞退をするというのは、なかなか出来るものではありません。
大きな賞を受賞すれば、それだけ本の売り上げもあがり、作家としての格も上がります。


面目をつぶされた菊池寛は激怒!

ただし、芥川賞の辞退を巡っては、文藝春秋社の創業者である菊池寛が、「恥をかかされた」と激怒しており、後に高木卓は、菊池寛に謝罪をしたと言われています。
そして、晩年の高木卓は、大学教授や翻訳の仕事をメインにしており、あまり執筆は行わなかったそうです。
結果的には、芥川賞の辞退によって、高木卓が文学界から遠ざかる原因になってしまったのかもしれません。